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都築響一「東京スナック飲みある記」

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昨日、スナックをテーマにしたトークイベントに出掛けてきました
トークをして下さったのは都築響一さんと玉袋筋太郎さん!

ユーモアに満ちた、さすが芸人さんという振る舞いやお喋りの玉さん
にこやかでおっとりした中に、強い信念や探究心を感じさせる都築さん
本当に楽しい、あっという間の一時間半でした

お酒の飲めないわたしがどうしてこのイベントに出掛けたかというと、とにかくお二人がとても好きだからです
特に都築さんは10代の頃から書籍を集めるくらいファンで、今回初めて実際にお目にかかることができました
そしてもう一つの理由は、スナックと喫茶店はどこか共通点があるような気がして仕方がなかったからです
再開発に飲まれ、消えゆく文化
激動の昭和を見てきた人々の素晴らしい人生
人と人との濃密な関わりやあたたかさ
お二人の口からそのようなことが次々と語られ、それをわたしなりに喫茶店に置き換えて解釈したりしながらじっくり聴きました
ああ、やっぱり思った通り
似たところがたくさんありました

「スナックって中が見えづらいですよね、入りにくいですよね」
トークの中盤に都築さんが仰いました
このことに関して都築さんは、スナックに入るのは他人の家にあがるような感じと似ている、と解釈しておられました
だから外から窺えないし、入りづらいのだと
これにはわたしはとても驚きました
同じことをわたしも常々考えていたからです
喫茶店を訪ねる時、どのお店でも(小さいお店は尚更)少なからずドアの前でためらいます
これは何軒訪ねても、いつまでたっても慣れないところです
だけどこの感覚は「喫茶店は現代の大衆的なお店とは違う、家的なものだから」という想いと繋がっているとわたしなりに分析しました
だからこそ、たくさんのお店を訪ねた今でも、この感覚だけは絶対に忘れないようにしています
喫茶店はマスターやマダムのお家のようなもので、同時に親しい常連さんたちのもの
わたしのような一見がミーハーな図々しい態度であがり込んではいけない
あくまで個人の意見ではありますが、この感覚を忘れたらわたしが喫茶店をあちこち訪れる意味は全く無くなると思っています
都築さんのお話でわたしはこのことに改めて気づかされ、同時に自信を得られた気がしました

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トークが終わった後にはサイン会が開かれました
都築さんの「東京スナック飲みある記」に、わたしの名前と共にサインをしていただきました
そこでわたしは喫茶店が好きなことと一番共感したその話をすると、都築さんは大きく頷いて下さいました
お話できて本当に嬉しかったです!
(とは言っても話すのが精一杯で、握手もお写真もお願いし忘れて立ち去ってしまってことを後で激しく悔みましたが…)

帰ってから「東京スナック飲みある記」をじっくり読みました
23区のスナックがあちこち紹介されているのですが、マスターやママの人生や街の歴史などにも触れているので「こんなお店あるからあなたも行ってみたら~?」という、ありふれたグルメ本のような丸投げ感がありません
都築さんの取材力やこだわりはいつの時代もかっこよくて憧れます
それに、都築さんと言えば!という感じたっぷりのノスタルジックな写真も多数掲載されていて、さすがだなあと嬉しくなりました
読み物としても、写真集としても秀逸です
スナックに限らずとも、喫茶店や昭和の空気が好きな方にも好まれる本だと思います
by chanomibanashi | 2012-02-25 20:01


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