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小伝馬町「COFFEE & SNACK ペルル」(2012年6月29日閉店)

わたしの好きな色はオレンジ色
健康的だったり、可愛らしかったり、温かかったり、とにかくいいイメージがたくさんあるから
それともう一つ、オレンジ色はわたしにはレトロな色にも感じられることが多い
看板やひさしやライトなど、古い洋食屋や喫茶店で効果的に使われたオレンジ色をよく見かけるせいだろうか

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ペルルはまさに、わたしにとってはオレンジ色の喫茶店だった
初めて見かけた時の高揚感は今も忘れられない
階段を駆け上がり、そのオレンジ色の空間に飛び込んだ

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オレンジのペンダントライト、レースのカーテン、造花を絡めたパーテーションなど、まさに喫茶店の様式美
とりわけ窓際の席が素敵だと思ったのだけれど、一人で占領してしまうのは憚られたので壁際の小さい席を選んで腰掛けた
真夏へ向かって準備を始めたかのような6月の日差しが体に堪えたが、よく効いた冷房のおかげでペルルは快適な空間だった

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ソーダフロートを飲んでさらに涼やかな気分
アイスクリームのシャリシャリした口当たりが懐かしい感じがした

素敵なお店だな、好きだな、と思いつつも、ペルルはわたしにとっては少し行きづらい場所にあって再訪は先延ばしになっていた
それでも、次に訪れる時が閉店の時になるとは考えもしなかった

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思い立って再びペルルへ足を運んだのが、前回からちょうど一年が経った頃だった
すると入口の扉には「立ち退きの為、今月いっぱいで閉店いたします」と書かれた張り紙がされていた
ええっ!?と驚いて店内を見渡してみると、昼下がりののんびりを満喫する大勢の人
張り紙の衝撃と、お客たちの自然で当たり前な風景との差がわたしにとってはあまりに激しく、オロオロしたまま席に着いた

ハムサンドもコーヒーも美味しいのだが、いまいち気分が晴れない
そうこうするうちに一人、また一人お客が帰って行き、わたしだけになった

最後はマスターとゆっくりお話できた
「ビルごと買い取れたらなあ」と、屈託なく笑うマスター
マスターの都合ではなく、ビル側の都合の閉店なのでやりきれない気持ちもあるだろう
それでもマスターはわりと明るくあっけらかんと話すのでわたしのオロオロした気持ちも徐々に無くなっていったのだが、会話の中で何度か聞かれた「本当はもっと続けたいけどね…」という言葉はやはり切なかった
当然だけど、さみしいのはわたしやお客だけでなくマスターだってそうなのだ

わたしの大好きなオレンジ色の喫茶店、ペルル
お疲れさまでした
ありがとうございました

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by chanomibanashi | 2012-06-30 08:00 | 東京・千代田区

保土ヶ谷「喫茶 トロンボ」

保土ヶ谷駅を降りてすぐの東口商店街に度肝を抜かれた
戦後からほとんどそのままの形で続く商店街らしく、まさしく本物のレトロだった
ここは横浜なの?国道一号線なの?と混乱してしまいそうな古さだったが、これがまたかっこいい

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そんな東口商店街の中にトロンボがあった
日の丸を模したようなオレンジ色のライトが優しく誘うように灯っている
ああ、とても好きな雰囲気だ
外観を見ただけですぐにそう感じ、嬉しくなっていそいそと扉を開けた

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店内は奥に向かってやや広く、手前より奥の方が一段下がった段違いのフロアになっている
そしてそこに置かれているソファは見事なレトロストライプ
昔自宅にあったものとよく似た柄だったので、感激と懐かしさでいっぱいになった
造花や絵画が飾られ、流れるのはクラシック音楽
優しい表情のマスターにモーニングセットをお願いした
出来上がるのを待つ間、別のお客さんのピラフがとってもいい匂いで美味しそうだった

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そしてわたしのモーニングセット
豪華なうえにひとつひとつが丁寧
たまご焼きも、厚切りトーストも、コーヒーも、どれも美味しくて嬉しかった

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わたしがトロンボに出かけたのは去年の夏、暑い暑い日だった
その時マスターの奥様は49年お店を続けていると仰っていた
ということは、今年は節目の50年
なんだかまた出かけてみたくなった

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by chanomibanashi | 2012-06-29 16:00 | 神奈川県

新中野「COFFEE & SNACK ミロン」

ミロンはわたしの喫茶フレンドが過去に訪れた喫茶店
わたしもいつか行こう行こうと思いつつ、やっと行けたのが去年の冬だった

朝の10時すぎ
前を通りかかるとまだ中は暗く、札も準備中
一体何時からやっているのだろう、もしや今日はお休みだろうか、などと考えながらぶらぶら時間をやり過ごした
11時頃になって再度覗いてみると、中が明るくなっていて心底ほっとした

店内はとても古く、時代を感じる
外から見た印象では小さなお店かと思っていたが、実際は奥行きがあって意外と広かった
棚には漫画がずらりと並んでおり、わたしはその中から水木しげる先生の『昭和史』を選んで席についた

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時が止まったようなセピア色の空間に、鮮やかな赤色の椅子
そんな対比に哀愁と美しさを感じながら味わうミロンのブレンドは濃いめ
店内の奥には、六角形のパネルと鏡を組み合わせたひときわお洒落な壁
昭和のスナックの写真で似たようなデザインを見かけたことがあったのでマスターにそう伝えると、ミロンでも昔はアルコールを出していたそう
今にも増してさぞ煌びやかな雰囲気だっただろうと想像した

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次は夜のミロンに行ってみようと思う
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by chanomibanashi | 2012-06-26 03:06 | 東京・中野区

亀戸「コーヒースタンド キャット」

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中の見えない濃い扉
こういった扉はやっぱり緊張する
しかし中は本当に素敵で、一気に気に入ってしまった

細身ですっとした佇まいのマスターは、ぱりっと白いワイシャツとネクタイがきまっていた
キャットは40年も続くお店で、現在は体調と相談しながらお仕事をしているそう
「利益より健康」と、マスターは少ししみじみと言った

薄暗くシックな雰囲気の店内はお酒を飲むシチュエーションにも合いそう
すっきりとしたカウンターも、入り口そばの個室気分のテーブルも、奥の一段上がったムードある空間も、どれもいいなと思えた

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キャットのモーニングは13時までと、比較的遅くまで注文できる
しかも安い
バックビートが心地よいファンクを聴きながら、わたし自身少しずつキャットの雰囲気に溶け込んでいくような気がした

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帰ろうとした時、マスターと奥様が「タロウちゃん入院してるし…」などと話していた
どうやらマスターの猫のことらしい
この時は時間があまり無くて詳しいことが分からないままお店を出たのだけど、この日を境にわたしはタロウちゃんのことが心の隅っこで気になるようになったのだった

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あの日から一年
亀戸天神社へお参りに行った帰りにキャットに立ち寄った
タロウちゃんのことをマスターに尋ねると、実はタロウちゃんは飼い猫ではなく可愛がって世話していた野良猫だそう
そのタロウちゃんはあの時入院し、そしてそのまま別の優しい人に引き取られて幸せに暮らしていると教えてくれた
心温まるいいお話だなと、じーんとしてしまった

この日は前回よりたくさんお話ができた
マスターが若かりし頃夢中になったものの話、お店を開いたきっかけや当時の様子など、それらすべてが興味深くてかっこいいエピソードばかり
「いい時代だったよ」と振り返るマスター
当時のマスターは相当もてていただろうな、きっと
今でもダンディで素敵なマスターの横顔を見ながらわたしはそんなふうに思った

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お店の名前の通り、猫好きなマスターがカウンターに立つ喫茶店
さらに、そんな名前とマスターに誘われるように猫好きなお客がやってくる喫茶店
かく言うわたしも、その一人である
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by chanomibanashi | 2012-06-22 02:22 | 東京・江東区

築地市場「珈琲の店 愛養」

わたしにとって愛養は憧れであり、同時に近寄り難い喫茶店だった
と言うのも、わたしは基本的に「働く街」が苦手なのだ
わたしの仕事は平日が休みだったり、職場で仕事着に着替えるので通勤時は好きなファッションだったり、職場自体がいわゆるビジネス街ではなかったりするため、世のサラリーマンやOLさんたちの気持ちや振る舞いがほぼ分からない
そんなわたしだから働く街に一歩踏み入れた時、馴染めず浮いているのではなかろうかとソワソワしてしまうのだ
そういうわけで、特に新橋や丸の内周辺の喫茶店は未だに緊張してしまう

そして築地
新橋などとは違った種類ではあるけど、ここも働く街のひとつ
しかも愛養があるのは築地市場の場内
いくら場内に観光客や一般人が出入りしてもいいとは言っても、どこをどう歩いたらいいのか、本当に邪魔にならないのだろうか、などと余計なことばかり考えてしまっていた

まだまだ寒い2月のある日、ドキドキしながら初めて築地の場内に入った
案の定ターレットに轢かれそうになりながら(結局邪魔になってる…)、ようやく愛養に辿り着いた
中では築地で働く人々がコーヒーを飲みながら和やかに談笑している
あの中にわたしが入ったら一気に場違い感が漂うかしら?
少し躊躇しながらも、思い切って入ってみた

小さなテーブル席もあるものの、カウンターが中心の細長いお店
わたしは入り口に一番近い端の椅子に座った
注文はずっと前から心の中で決めていた、ミルクコーヒーとトーストを

「AIYO」と書かれたガラスのコップになみなみ注がれたミルクコーヒー
これがとっても可愛く、そしてとっても熱い
食べやすく包丁の入ったトーストはいい具合にこんがりとしている
ひとつつまんでポイと頬張ると、香ばしくカリカリとして美味しかった

カウンターのマスターやおばさまは皆優しく、柔らかい雰囲気の方々だったので心からほっとした
場内に初めて来たことを伝え、築地のことをあれこれマスターに聞いてみた
「働く街」としての築地に対するわたしなりのイメージを話したところで、「皆さんがお魚買ってくれたりとか、そうやって築地でお金を使ってくれればいいんだけどねえ」とマスター
その言葉を聞いて、ああ、そうかとわたしはようやく納得してすっきりした

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築地でお金を使えばいいんだよね…
それならば、これからも愛養に通うことでわたしも立派な築地のお客ということだね!

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こちらは別の日
コーヒーカップとグラスを並べてやっぱり可愛い
聞くと、昔はカップのロゴは「愛養」と漢字だったそう
今よりもっと大量に牛乳を沸かしてひっきりなしに何杯もミルクコーヒーを淹れた時代もあったと、懐かしい目をしながらマスターは言った

何度行っても、またすぐ行きたくなってしまう魅力的な愛養
憧れの喫茶店は想像通り素晴らしく、懐が広かった
愛養も、築地も、今ではどちらも大好きな場所になった
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by chanomibanashi | 2012-06-14 01:40 | 東京・中央区

浅草「洋食 大木」

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物凄い雨の中、池袋からバスに乗り浅草へ向かった
浅草警察署前のバス停で降り、わき目もふらずとにかく大木へと向かった

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歩道側にせり出す形のカーブした暖簾が営業中のしるし
入り口の戸は上の部分だけクリアな硝子で、少し背伸びしてそこから店内の様子を窺ってみると大将がひとりテレビを眺めていた
建て付けのあまり良くない、しかし味のあるその戸を開けてわたしは中に入った

大将が見ていたのはプロ野球中継
わたしが席につくとすかさず「お好きなところ、どうぞ」と言ってポンとテレビのリモコンを渡してくれた
しかしわたしも野球が好きなのでこのままでいいと伝え、大将とお互いの贔屓チームの話などをした

いつも通りあれこれ迷って、カツ丼をお願いする
大将が奥のキッチンに入って程なく、包丁のトントン小気味よい音が聞こえてきた
いいにおいとふわふわの湯気の向こうに大将の姿
カウンターの隙間からチラチラ見えるそんな風景がたまらなくノスタルジックだった

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汁気少なめの、あっさりしたカツ丼
ゴーヤーのぬか漬けはピリッと辛味を加えた大将オリジナル
あたたかいお味噌汁もついて、心もお腹も大満足だった

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食べ終わったあとも、お茶を飲みながら大将としばらく話をした
孫ほど歳が離れているであろうわたしのような者にも、大将は丁寧な言葉遣いで腰が低かったのが印象的だった
浅草で何十年もお店を続けられるのは、どんなお客にも一人ひとり分け隔て無く振る舞う、そんな気持ちを持ち続けているからなのだろうと思う
そして大将の笑顔がほっとするとてもいい表情だったのも印象的

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浅草の片隅で、美味しい食事と尊敬できる素敵な大将に巡り合えた
わたしはとっても幸せだ
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by chanomibanashi | 2012-06-09 00:01 | 洋食

高円寺「名曲 ネルケン」

立て続けに中央線沿線のあれこれが個人的に話題になった時期があった
高円寺のかわいいお菓子を頂いたり、荻窪で友人と待ち合わせしてご飯を食べたり
そんな中、以前より行ってみたかったネルケンを訪れることもできた

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木の葉が青々と輝き、季節柄あじさいも咲いていた
辺りの景色や喧騒とは違ったオーラを放つネルケン
少し、緊張した

先客は二人
一人は入り口そばの席で寛ぎ、もう一人は奥のカウンターでマダムと親しげに話をしていた
店内はほの暗く、流れる名曲の数々をさらに引き立てている
また、席の配置や仕切りのおかげでどの席に座っても個室感があり、他の人と顔を合わせることなく思い切りぼんやりすることもできる

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ベルベットのカーテン、テーブルそれぞれに飾られた花、魅力的な女性像…
それらすべてが「ネルケンにあってこそ」といった姿をしていて美しかった
そしてマダムもまた、とても美しく素敵な方だった
お化粧、服装、話し方、どれも上品
ネルケンのようにクラシックなお店にはやはりマダムのような人がよく似合うと思う

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濃いめのコーヒーを飲みながら、この日はすっかり安心しきって眠ってしまった
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by chanomibanashi | 2012-06-06 06:06 | 東京・杉並区

池上「喫茶 コボちゃん」

池上には事前に調べた気になるお店がいくつかあった
しとしとと小雨の降る5月のある日、それらを探すべく初めて池上をぶらぶら歩いた
しかし調べたお店はそのほとんどが閉店しており、しかもほんの数ヶ月前までは営業していたりとますます残念な事態となってしまった

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さっぱりしない天気もまたわたしの心を暗くした
ため息をつきながらとぼとぼ歩き、この日最後に訪れたのが喫茶コボちゃん
冴えない気持ちのまま席についたのだけど、このお店のたくさんの魅力に触れるたびに暗いことの色々をすっかり忘れて、とても楽しい気持ちになれたのだった

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まずはメニュー
手書きの絵や文字がとても可愛い
分かりやすいし、楽しいし、何より美味しそう
あれこれ悩んでこの日はベーコンエッグセットをお願いした
本棚で見つけた植田まさし先生の『コボちゃん』を読みながらのんびり待った

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ワンプレートにベーコンエッグ、トースト、ポテトサラダが乗っている
トーストはほんのり甘くて香りもいい
たまごの焼き加減も良く、さりげなく置いてくれたお醤油も嬉しかった
(わたしは目玉焼きを食べる時、白身には塩コショウ、黄身にはお醤油をかけるのがお気に入り)
この時のお客はわたしだけ
お店の奥さん二人の楽しそうな世間話を心地よく聞きながら、嫌なことや残念な出来事も気にならないくらい穏やかな気持ちになっていった

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メニュー同様、壁に貼られた絵もとても上手
もしかして植田先生ご本人が…?と思って尋ねるとそうではないとのこと
お店の奥さんに訊くと、こういった絵やデザインが得意な人に頼んで描いてもらったのだそう
「絵でも何でもこういう才能があるっていいわよね」と奥さんが言うので、本当にその通りだと思い、わたしは何度も頷いた

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植田先生の許可をもらったというお店の屋号
そして、あの漫画同様にほのぼのとしたあたたかいお店であることがとても嬉しかった
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by chanomibanashi | 2012-06-01 05:00 | 東京・大田区