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新小岩「喫茶 エンゼル」

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みのり会という商店街の一角に、鮮やかなオレンジ色の屋根が見えてくる
そこには「エンゼル」と、ファンシーなフォントが踊っていた
わたしは小走りで駆け寄り、外に出ているモーニングの看板を確認して、カーテンの掛かったドアを開けた

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明るさを抑えた、とても静かなエンゼル
本棚があるので見てみると、お馴染みの週刊少年誌や新聞とともに文庫本がたくさん並んでいた
雑誌や新聞を様々たくさん並べているお店はよくあるけれど、文庫本がずらりとは渋い
池波正太郎など、マスターの好みなのだろうか
モーニングを待つ間に興味深く眺めた

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天井には変わった形のライトが、変わった配置で付いている
カラフルで可愛いこのライト、どうしてこんな風に並んでいるのだろう
マスターに尋ねると、「お客さんが会議とか何かするときに明るいように…」と控え目に答えてくださった
光の向きなどを考えた、よく工夫されたライティングなのだそう

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そうこうしているとマスターがモーニングを運んでくれた
耳の切り取られたトーストは焼き加減が絶妙で香りもいい
しんとした、心が洗われるような朝食の時間
このまま時の流れが止まってしまいそうな静寂だった

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by chanomibanashi | 2012-07-20 10:04 | 東京・葛飾区

六郷土手「喫茶・軽食 ハッピーバード」

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六郷土手駅を降りてすぐに見えるハッピーバード
外から観ると、店内の照明がキラキラとまるで星を散りばめたように輝いている
どんなふうになっているのだろう、と、期待に胸をふくらませながら階段を上った

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中に入って早速天井を確認すると、小さめの電球が細かくたくさん付いていた
わあ、こうなっていたのか
趣向を凝らしたランプシェードや派手なシャンデリアもいいけれど、こういうシンプルに魅せる照明も素敵
店内は適度に広く、全面窓も心地よい
ステンドグラスシールがあしらわれた窓も可愛らしかったりと、全体がほのぼのとあたたかいお店だなと感じた

セットメニューが豊富にあったのだが、モーニングは無い様子
ハムサンドとアメリカンをお願いした

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一人で食べるには多いくらいたっぷりのハムサンド
しかもハムが厚い
粒マスタードが効いていてどんどん進む味だった

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現在のお店は改装して30年ほどとのこと
テレビ番組の再現VTRの撮影などにも使われたことがあるそうで「駅から近いからね」「レトロ調だからね」とマスター

他にもあれこれ話した中に「ここは茶屋からずっと続いてて…」という件があってはっとした
何でもハッピーバードは遡ること江戸時代、お茶屋さんの時代から先祖代々続いているのだそう
もちろんその当時は農業と兼業だったり今とは場所が少し違ったりしたそうだけど、ハッピーバードはずっと昔から飲食に携わりながら受け継がれた、由緒正しき喫茶店なのだ

話してみないと分からない、壮大でロマンあるお店の歩みを聞くことができて感慨深かった
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by chanomibanashi | 2012-07-18 08:01 | 東京・大田区

蕨「喫茶 クラウン」

わたしの仕事は、土曜日はいつもより早く終わる
そのまままっすぐ家に戻ってもいいのだが、折角外に出ているということもあって、いつもとは違う電車に乗って少しだけ遠くへ出かけるのもいいなと思っている

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ぽかぽかと暖かくなってきた春先、わたしにとって「少しだけ遠く」にある蕨駅に降り立つ
そのそばにある喫茶店 クラウンを訪ねた

先客が一組いるなと思いながら入ったのだけど、実はそれはお店の方々だった
わたしに気がついてすぐに席を案内してくれ、丁寧にメニューを差し出してくれた
仕事終わりで体もくたびれ気味
甘いものをと思い、ホットケーキセットを頼むことにした

出来上がるまでの間、奥さんにお願いして店内を色々見せて頂いた
三階建てのクラウンだが、実際主に使用するのは一階
二階は団体客用で、三階は立ち入り禁止にしているそう

波状の壁、天井のブロックがレトロな風情
螺旋階段もロマンチックで、一目で好きになった

そしてその螺旋階段に優しく守られるように、ゴージャスで大きなシャンデリアがあった
今ではなかなかどこにも無いものだそうで、ここにあるものもだいぶ劣化してしまって所々折れてしまうこともあると言っていた
「夜になるともっと綺麗なんですよ」とも教えてくれた
最終的にわたしは辺りが暗くなるまでクラウンにいたのだが、だんだんとより輝きを増していく様が感動的だった

個人経営でこれだけ広さのある正統派喫茶店は、都市近郊において今ではなかなか珍しい
実際蕨にも他に何軒かこういった喫茶店があったけれどだいぶ無くなってしまったと奥さん
時代の流れがあるとは言え、こういう話はいつ聞いてもとても残念な気持ちになる

今はできるだけ、思いつくまま、喫茶店に出掛けよう
古き良き景色を一つでも多く心に焼き付けたい
軽く疲れた体でも、この日のクラウンのような空間に出会えるのなら「少しだけ遠く」もちっとも苦にならないから

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by chanomibanashi | 2012-07-10 09:06 | 埼玉県

千駄木「キッチン マロ」

谷根千自体、もともと下町らしい長閑な住宅地なのだが、ノスタルジックな街並みや昔ながらの商店街、そのあちこちで自由に振舞う野良猫たちを見に来る人々でちょっとした観光地にもなっている

そんな台東区谷中と文京区千駄木のちょうど区境に「よみせ通り」という商店街がある
谷根千の商店街と言えば「谷中銀座」の方がずっと知られているのだろうが、よみせ通りもなかなか渋くていい
キッチン マロがあるのもよみせ通り
オレンジのひさし、サンプルケース、濃紺の暖簾が目印だ

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お昼時には近所の人、散策途中の人でいっぱいだった
幅は狭めだが奥行きのある店内で、カウンター、テーブル、一段上がったお座敷もある

いくつかランチメニューがあり、フライ、スパゲティ、ハンバーグなど洋食の王道がずらり
わたしはその中からミックスフライを選んだ

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とにかく衣がカラッとしていて香ばしい
やっぱりフライはサクサクが命
そして食事を美味しく頂いた後には、ちょうどいい量のアイスコーヒーが付く
価格も手頃で、いいお店だなと思った

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店名の「マロ」は、マスターのお名前の一部
よく通る声でハキハキ喋る、とっても元気な方だ
そんなマスターの様子からわたしはてっきり生粋の江戸っ子だと思っていたのだけど、実はマスターは東北のご出身だそう

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「どこよりも東京が大好きだよ」と笑顔のマスター
うん、やっぱりマスターは誰よりも江戸っ子だなあ
わたしにはそんな風に思えた
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by chanomibanashi | 2012-07-07 00:06 | 洋食

南千住「軽食・喫茶 エール」

エールに初めて行った日は、結局あまり楽しめずに終わってしまった
想像以上にゆったり広い店内と、有馬記念の予想に熱心なおじさま達の雰囲気に押されてしまったのだ
なんとなく居づらくなってしまい、ささっとコーヒーを飲み干してその日は帰った

その後も何度も南千住へ出掛けたのだが、エールだけは時間が合わず再び訪ねることができないでいた
そんなことを繰り返すうち「エールってどんな内装だったかな」と気になって仕方なくなり、改めて出掛けてみたのだった

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新しい気持ちでよく見渡してみると、随所に可愛いレトロが散りばめられていた
その中でもわたしは特に、ぽてっと丸いオレンジのランプシェードとダンディな配色と柄の壁がとても気に入った
前回ほとんど味わえなかった感動やワクワクをやっと堪能することができた

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だんだんエールの空気にも慣れて、書き物をしたり新聞を読んだりしながらすっかり長居してしまった
前回はそわそわしてしまったこの広さも、実は周りに気を遣わず長居するにはぴったりなことも分かった

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気になるけどなかなか入る勇気の出ないお店、大好きなお店、行ってみたいとチェックしたお店
全部は難しくても、行けるだけ沢山行った方がいいなと思う
新しい発見や新しいお気に入りに出会えるのはもちろん、いつまでも存在すると思っていたその場所が無くなることだってある
自分の経験や宝物を増やせるように、そして後悔しないように


(実際、エールの入口に置いてあった素敵なサンプルケースが今回の訪問では無くなっていてとても残念でした。当記事の下二枚の写真は2010年に撮影した、サンプルケースのある風景です。)
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by chanomibanashi | 2012-07-02 06:03 | 東京・荒川区