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千駄木「キッチン マロ」

谷根千自体、もともと下町らしい長閑な住宅地なのだが、ノスタルジックな街並みや昔ながらの商店街、そのあちこちで自由に振舞う野良猫たちを見に来る人々でちょっとした観光地にもなっている

そんな台東区谷中と文京区千駄木のちょうど区境に「よみせ通り」という商店街がある
谷根千の商店街と言えば「谷中銀座」の方がずっと知られているのだろうが、よみせ通りもなかなか渋くていい
キッチン マロがあるのもよみせ通り
オレンジのひさし、サンプルケース、濃紺の暖簾が目印だ

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お昼時には近所の人、散策途中の人でいっぱいだった
幅は狭めだが奥行きのある店内で、カウンター、テーブル、一段上がったお座敷もある

いくつかランチメニューがあり、フライ、スパゲティ、ハンバーグなど洋食の王道がずらり
わたしはその中からミックスフライを選んだ

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とにかく衣がカラッとしていて香ばしい
やっぱりフライはサクサクが命
そして食事を美味しく頂いた後には、ちょうどいい量のアイスコーヒーが付く
価格も手頃で、いいお店だなと思った

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店名の「マロ」は、マスターのお名前の一部
よく通る声でハキハキ喋る、とっても元気な方だ
そんなマスターの様子からわたしはてっきり生粋の江戸っ子だと思っていたのだけど、実はマスターは東北のご出身だそう

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「どこよりも東京が大好きだよ」と笑顔のマスター
うん、やっぱりマスターは誰よりも江戸っ子だなあ
わたしにはそんな風に思えた
# by chanomibanashi | 2012-07-07 00:06 | 洋食

南千住「軽食・喫茶 エール」

エールに初めて行った日は、結局あまり楽しめずに終わってしまった
想像以上にゆったり広い店内と、有馬記念の予想に熱心なおじさま達の雰囲気に押されてしまったのだ
なんとなく居づらくなってしまい、ささっとコーヒーを飲み干してその日は帰った

その後も何度も南千住へ出掛けたのだが、エールだけは時間が合わず再び訪ねることができないでいた
そんなことを繰り返すうち「エールってどんな内装だったかな」と気になって仕方なくなり、改めて出掛けてみたのだった

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新しい気持ちでよく見渡してみると、随所に可愛いレトロが散りばめられていた
その中でもわたしは特に、ぽてっと丸いオレンジのランプシェードとダンディな配色と柄の壁がとても気に入った
前回ほとんど味わえなかった感動やワクワクをやっと堪能することができた

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だんだんエールの空気にも慣れて、書き物をしたり新聞を読んだりしながらすっかり長居してしまった
前回はそわそわしてしまったこの広さも、実は周りに気を遣わず長居するにはぴったりなことも分かった

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気になるけどなかなか入る勇気の出ないお店、大好きなお店、行ってみたいとチェックしたお店
全部は難しくても、行けるだけ沢山行った方がいいなと思う
新しい発見や新しいお気に入りに出会えるのはもちろん、いつまでも存在すると思っていたその場所が無くなることだってある
自分の経験や宝物を増やせるように、そして後悔しないように


(実際、エールの入口に置いてあった素敵なサンプルケースが今回の訪問では無くなっていてとても残念でした。当記事の下二枚の写真は2010年に撮影した、サンプルケースのある風景です。)
# by chanomibanashi | 2012-07-02 06:03 | 東京・荒川区

小伝馬町「COFFEE & SNACK ペルル」(2012年6月29日閉店)

わたしの好きな色はオレンジ色
健康的だったり、可愛らしかったり、温かかったり、とにかくいいイメージがたくさんあるから
それともう一つ、オレンジ色はわたしにはレトロな色にも感じられることが多い
看板やひさしやライトなど、古い洋食屋や喫茶店で効果的に使われたオレンジ色をよく見かけるせいだろうか

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ペルルはまさに、わたしにとってはオレンジ色の喫茶店だった
初めて見かけた時の高揚感は今も忘れられない
階段を駆け上がり、そのオレンジ色の空間に飛び込んだ

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オレンジのペンダントライト、レースのカーテン、造花を絡めたパーテーションなど、まさに喫茶店の様式美
とりわけ窓際の席が素敵だと思ったのだけれど、一人で占領してしまうのは憚られたので壁際の小さい席を選んで腰掛けた
真夏へ向かって準備を始めたかのような6月の日差しが体に堪えたが、よく効いた冷房のおかげでペルルは快適な空間だった

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ソーダフロートを飲んでさらに涼やかな気分
アイスクリームのシャリシャリした口当たりが懐かしい感じがした

素敵なお店だな、好きだな、と思いつつも、ペルルはわたしにとっては少し行きづらい場所にあって再訪は先延ばしになっていた
それでも、次に訪れる時が閉店の時になるとは考えもしなかった

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思い立って再びペルルへ足を運んだのが、前回からちょうど一年が経った頃だった
すると入口の扉には「立ち退きの為、今月いっぱいで閉店いたします」と書かれた張り紙がされていた
ええっ!?と驚いて店内を見渡してみると、昼下がりののんびりを満喫する大勢の人
張り紙の衝撃と、お客たちの自然で当たり前な風景との差がわたしにとってはあまりに激しく、オロオロしたまま席に着いた

ハムサンドもコーヒーも美味しいのだが、いまいち気分が晴れない
そうこうするうちに一人、また一人お客が帰って行き、わたしだけになった

最後はマスターとゆっくりお話できた
「ビルごと買い取れたらなあ」と、屈託なく笑うマスター
マスターの都合ではなく、ビル側の都合の閉店なのでやりきれない気持ちもあるだろう
それでもマスターはわりと明るくあっけらかんと話すのでわたしのオロオロした気持ちも徐々に無くなっていったのだが、会話の中で何度か聞かれた「本当はもっと続けたいけどね…」という言葉はやはり切なかった
当然だけど、さみしいのはわたしやお客だけでなくマスターだってそうなのだ

わたしの大好きなオレンジ色の喫茶店、ペルル
お疲れさまでした
ありがとうございました

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# by chanomibanashi | 2012-06-30 08:00 | 東京・千代田区