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築地市場「珈琲の店 愛養」

わたしにとって愛養は憧れであり、同時に近寄り難い喫茶店だった
と言うのも、わたしは基本的に「働く街」が苦手なのだ
わたしの仕事は平日が休みだったり、職場で仕事着に着替えるので通勤時は好きなファッションだったり、職場自体がいわゆるビジネス街ではなかったりするため、世のサラリーマンやOLさんたちの気持ちや振る舞いがほぼ分からない
そんなわたしだから働く街に一歩踏み入れた時、馴染めず浮いているのではなかろうかとソワソワしてしまうのだ
そういうわけで、特に新橋や丸の内周辺の喫茶店は未だに緊張してしまう

そして築地
新橋などとは違った種類ではあるけど、ここも働く街のひとつ
しかも愛養があるのは築地市場の場内
いくら場内に観光客や一般人が出入りしてもいいとは言っても、どこをどう歩いたらいいのか、本当に邪魔にならないのだろうか、などと余計なことばかり考えてしまっていた

まだまだ寒い2月のある日、ドキドキしながら初めて築地の場内に入った
案の定ターレットに轢かれそうになりながら(結局邪魔になってる…)、ようやく愛養に辿り着いた
中では築地で働く人々がコーヒーを飲みながら和やかに談笑している
あの中にわたしが入ったら一気に場違い感が漂うかしら?
少し躊躇しながらも、思い切って入ってみた

小さなテーブル席もあるものの、カウンターが中心の細長いお店
わたしは入り口に一番近い端の椅子に座った
注文はずっと前から心の中で決めていた、ミルクコーヒーとトーストを

「AIYO」と書かれたガラスのコップになみなみ注がれたミルクコーヒー
これがとっても可愛く、そしてとっても熱い
食べやすく包丁の入ったトーストはいい具合にこんがりとしている
ひとつつまんでポイと頬張ると、香ばしくカリカリとして美味しかった

カウンターのマスターやおばさまは皆優しく、柔らかい雰囲気の方々だったので心からほっとした
場内に初めて来たことを伝え、築地のことをあれこれマスターに聞いてみた
「働く街」としての築地に対するわたしなりのイメージを話したところで、「皆さんがお魚買ってくれたりとか、そうやって築地でお金を使ってくれればいいんだけどねえ」とマスター
その言葉を聞いて、ああ、そうかとわたしはようやく納得してすっきりした

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築地でお金を使えばいいんだよね…
それならば、これからも愛養に通うことでわたしも立派な築地のお客ということだね!

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こちらは別の日
コーヒーカップとグラスを並べてやっぱり可愛い
聞くと、昔はカップのロゴは「愛養」と漢字だったそう
今よりもっと大量に牛乳を沸かしてひっきりなしに何杯もミルクコーヒーを淹れた時代もあったと、懐かしい目をしながらマスターは言った

何度行っても、またすぐ行きたくなってしまう魅力的な愛養
憧れの喫茶店は想像通り素晴らしく、懐が広かった
愛養も、築地も、今ではどちらも大好きな場所になった
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# by chanomibanashi | 2012-06-14 01:40 | 東京・中央区

浅草「洋食 大木」

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物凄い雨の中、池袋からバスに乗り浅草へ向かった
浅草警察署前のバス停で降り、わき目もふらずとにかく大木へと向かった

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歩道側にせり出す形のカーブした暖簾が営業中のしるし
入り口の戸は上の部分だけクリアな硝子で、少し背伸びしてそこから店内の様子を窺ってみると大将がひとりテレビを眺めていた
建て付けのあまり良くない、しかし味のあるその戸を開けてわたしは中に入った

大将が見ていたのはプロ野球中継
わたしが席につくとすかさず「お好きなところ、どうぞ」と言ってポンとテレビのリモコンを渡してくれた
しかしわたしも野球が好きなのでこのままでいいと伝え、大将とお互いの贔屓チームの話などをした

いつも通りあれこれ迷って、カツ丼をお願いする
大将が奥のキッチンに入って程なく、包丁のトントン小気味よい音が聞こえてきた
いいにおいとふわふわの湯気の向こうに大将の姿
カウンターの隙間からチラチラ見えるそんな風景がたまらなくノスタルジックだった

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汁気少なめの、あっさりしたカツ丼
ゴーヤーのぬか漬けはピリッと辛味を加えた大将オリジナル
あたたかいお味噌汁もついて、心もお腹も大満足だった

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食べ終わったあとも、お茶を飲みながら大将としばらく話をした
孫ほど歳が離れているであろうわたしのような者にも、大将は丁寧な言葉遣いで腰が低かったのが印象的だった
浅草で何十年もお店を続けられるのは、どんなお客にも一人ひとり分け隔て無く振る舞う、そんな気持ちを持ち続けているからなのだろうと思う
そして大将の笑顔がほっとするとてもいい表情だったのも印象的

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浅草の片隅で、美味しい食事と尊敬できる素敵な大将に巡り合えた
わたしはとっても幸せだ
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# by chanomibanashi | 2012-06-09 00:01 | 洋食

高円寺「名曲 ネルケン」

立て続けに中央線沿線のあれこれが個人的に話題になった時期があった
高円寺のかわいいお菓子を頂いたり、荻窪で友人と待ち合わせしてご飯を食べたり
そんな中、以前より行ってみたかったネルケンを訪れることもできた

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木の葉が青々と輝き、季節柄あじさいも咲いていた
辺りの景色や喧騒とは違ったオーラを放つネルケン
少し、緊張した

先客は二人
一人は入り口そばの席で寛ぎ、もう一人は奥のカウンターでマダムと親しげに話をしていた
店内はほの暗く、流れる名曲の数々をさらに引き立てている
また、席の配置や仕切りのおかげでどの席に座っても個室感があり、他の人と顔を合わせることなく思い切りぼんやりすることもできる

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ベルベットのカーテン、テーブルそれぞれに飾られた花、魅力的な女性像…
それらすべてが「ネルケンにあってこそ」といった姿をしていて美しかった
そしてマダムもまた、とても美しく素敵な方だった
お化粧、服装、話し方、どれも上品
ネルケンのようにクラシックなお店にはやはりマダムのような人がよく似合うと思う

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濃いめのコーヒーを飲みながら、この日はすっかり安心しきって眠ってしまった
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# by chanomibanashi | 2012-06-06 06:06 | 東京・杉並区